職人と生産者が繋がるジョウロ【サンサン】誕生軌跡〜コロナ禍がもたらした産物
プロ用灌水ジョウロ【サンサン】は、コロナ禍の2021年に産声をあげました。
その経緯について書いてみたいと思います。
えっ!ジョウロが廃盤に!!
2年前のちょうどこの時期、花つくり農家にとって、暑い夏の水やりはまさに業のようなもので、場内に苗が多くあればあるほど毎日の水やりに追われていました。
5~6年使っていたジョウロは、何度か使用している際に落として角が痛みそこから劣化が生じて、放物線を描くような綺麗な水が出てこなくなり、こりゃ〜買い替えだわと思って販売店に連絡したら
「すみません、このコロナ禍で製造元が廃業したようでして、既に販売を停止しています。」とのこと。
え〜〜〜!!
それは困る!!
せめて、今持っている商品の修理を考えたのですが、この問題を解決するために何らかの手を打つ必要がありました。
当時、次にどんなジョウロを使おうか途方に暮れていたのです。
ジョウロは商売道具
私達花農家にとって、水やりは植物に不可欠なご飯のようなものです。
単に水を与えれば良いのではなく、
- いかに効率的に
- 植物にダメージが無いような柔らかい水
が良い製品を作るキーポイントです。
水やりの鉄則は、植物が乾いた時に十分な水を午前中にやるのが良いとされています。
理由は、ジメジメした気温や夕方に洗濯物を干してもその日のうちに乾かないのと一緒で、植物にとっては湿気は病気につながるからです。
このように、水やりが遅れると、植物だけでなく、人件費も増大する危険性があります。特に農場が広ければ、その負担はさらに増します。
また、特に長時間の水やりは肩や腰などの負担も否めないです。
ジョウロに魅了され
それならばと親戚の鉄工所さんにお願いし、とりあえず1本と試作で作っていただいたのがことの始まりでした。
初めは、ドヤこれ!と言わんばかりの匠技。
立派な商品が出来上がり、好意で作っていただいたのでとても嬉しかったです。
そして、使えば使うほどそのジョウロに魅了されていきました。
実際、これを本気で作ったらいくらかかるんやろう?
きっと、私たちみたいに困っている生産者はいるに違いない!
と、思うようになってきたのです。
職人さんと生産者さんを結ぶジョウロ
あれから1年
職人の技術と一般の人々が手が届く価格のバランスを見つけるために、何度も試作が行われました。
このプロセスは、職人自身の「より良いものを作りたい」という強い意志と、手作りに伴う時間とコスト、さらには材料費の高騰という複数の要素に影響されました。
特に、コロナ禍とそれに伴う静かな物価高騰の影響で、望む価格設定に至るまでの道のりは決して容易ではありませんでした。
その中で、何度も地元の生産者さんに試供を依頼し、その意見を直接職人にフィードバック。職人の新たなアイデアにより、ジョウロは逐次改良され、より良い製品が次々と開発されていったのです。
このような相乗効果が生んだ新しいジョウロは、以前の製品を上回る品質になり、ついに特許申請も完了。販売開始が可能となりました。
コロナ禍ではなかったら、このジョウロ『サンサン』は生まれて来なかったでしょう。
もし何かのご縁でこのジョウロと繋がる方があれば幸いです。